ボーカル録音時のレベル管理について

■ボーカル録音時のレベル管理について

ボーカル録音のレベル管理について


録音の基礎的な事になりますが録音レベル管理、今回はボーカルに絞って書いていこうと思います。

ボーカルの録音はレベルの管理が難しい部類に入ります。
ミックス依頼時に送ってもらったトラックの状態でよくあるのが録音レベルの幅の広いもの。

つまりAメロ、Bメロは蚊がなくように小さくサビは0dB付近までめいっぱいになっている というような録音状態が目立ちます。

録音された状況が様々なので、一概には言えないのですが、録音する時にサビのレベルに合わせて調整してあるためだと推測されますが、中には逆にコンプレッサーがかかっているけどサビは歪んでいるというようなトラックもみられます。

歌手の側にも原因はある事かと思いますが、録音する側でこのあたりはカバーしてあげるのが一般的ではないででしょうか。



さて、レベル管理の方法ですが幾つかあるので紹介します。




・マイクプリアンプでレベル管理する方法

オーディオインターフェイス直で録音する場合は必然的にこの方法が候補となります。
AメロBメロなどで声が小さくレベルが取れないところはゲインをあげて録音します。
特に最近はセクション毎で分けて録音するのが多いようですので そういうパート録りの場合は比較的容易に行えると思います。

数値がメーターででるものは数値管理で問題無いですし、アナログゲインの場合はテープを張ってペンなどで目印を付けるなどして対応します。

通しで歌うスタイルの録音の場合は可能な限りリアルタイムで手動でゲインコントロールをします。
この場合はある程度の経験と慣れが必要でしょう。

またアウトボードのマイクプリアンプを使う場合はアウトプットレベルで調整する場合もあります。
この場合はゲインが粗めのステップでしか調整出来ない機種に限ります。
NEVE1073などがこれに該当します。


・コンプレッサーでレベル管理する方法

マイクプリアンプ→コンプレッサーという接続での録音の場合はコンプレッサー側でレベル調整を行う事があります。

多くの場合 コンプのインプットレベルを使って調整します。

このコンプレッサーの入力レベルで録音レベルを調整する方法は同時にコンプレッサーのかかり具合もコントロールいているので単純に録音レベルだけではない少し高度なテクニックが必要となります。

それなりにキャリアのあるベテランエンジニアはこの方法を用いることが多いように感じます。






・ミキサーなどのフェーダーでレベル管理する方法


丸いつまみのボリューム操作よりもより細かい操作が必要な場合はフェーダーを使って録音レベルの調整を行います。

この方法では歌詞の内容や歌い方などニュアンスレベルでの調整を行うことが多く、ミックスダウン時のオートメーションの補助にちかいと思ってよいでしょう。

最近ではここまでやる人はいないでしょうが、昔の歌ものの録音ではよく見られた手法です。

以上のように録音レベルを調整する目的ですが、冒頭に書いたように小さすぎる場所と大きい場所の差を減らすという事もあるのですが、実は大きすぎて歪むのを防ぐという目的のほうが重要かもしれません。

”じゃあ、歪まないようにAメロBメロは小さくてもいいだろう” と思うかもしれませんが、出来るならばそこもきちっと調整しておいたほうが良いと思いますので記事にしてみました。



よく質問される事に
「どのくらいのレベルで録音しておけばいいですか?」
という事があるのですが、私の場合 24bitでの録音であれば
ピークで-6dB~-18dBに収まる感じで録音します。

0dBめいっぱい入れたい人もいるでしょうが結局どこかでレベルを下げることになるので、扱いにくさなど考慮してあまり意味は無いでしょう。

また、ピーク付近まで上げてしまうと、突発的なレベルオーバーの心配などがあり
常にメーター監視をする必要が出てくるので、そういった作業から開放されるというメリットもあります。

さらにアナログ機器(モデリング系プラグインも)は入力に適正レベルが有り、レベルオーバーでなくとも意図しない歪が足されたりすることもあるので注意が必要です。


ボーカル録音時のレベル管理について でした。

おわり


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