ボーカル録音用などに準備するデータなどについて・レコーディングエンジニアからのお願い

作曲家やアレンジャーの方がボーカル録音や楽器のダビングなどをスタジオやレコーディングエンジニア等に依頼する場合のオーディオデータなどの準備などについてレコーディングエンジニアの立場から書いてみようと思います。

 

 まずは準備して欲しいデータや形式などについて


1、オケのオーディオデータはWAVE(またはAIFF)で

"当たり前"と思われるかもしれませんがMP3などで送ってくる場合が多々あります。
MP3などを使用してはいけない理由についてはこちらで詳しく記事にしているので御覧ください。


2、カラオケ2MIXでもいいですが可能ならステムデータがあると嬉しい

2時間とかの短時間で簡単にデモなどを録音する場合ならカラオケ2MIXでもOKですが、ある程度きちんとした録音をする場合のオケはパートごとのステムデータがあると嬉しいです。
あまり多いと逆に面倒ですが、Drums,Bass,Piano系,ギター,その他 くらいに分けてあるとさっと立ち上げられてバランス変更が必要な場合も対応できるので最適です。

 

3、テンポチェンジや拍子変更がある場合はテンポデータのMIDIがほしい

BPMが固定の場合はわかるようにフォルダ末尾とかに数字を書いてもらえればOKですが、テンポチェンジや拍子変更(2/4が入るとかも含む)がある場合はMIDIをください。
説明は不要かと思いますが、グリッドでのコピペや編集などがし易いためです。
可能であれば練習番号等のマーカーが打ってあると最高です。


4、ガイドメロディはMIDIデータで

ボーカルやハーモニーのガイドがオーディオで来ることもありますが、聞き取りにくい音色だったりピッチが変だったりする場合があるのでMIDIでいただけると最高です。
どうしてもオーディオの場合はピアノの音がベストだと思います。


5、補助のガイドトラックがほしい

音が薄くて音程を取りにくかったりする場所がある場合はピアノやストリングスなどでガイドのコードを入れてください。
他には歌から始まるような曲の場合は歌い出し用のガイドもあると助かります。

 

 6、その他について

 事前に収録スタジオなどのシステムが分かる場合は、同じDAWを使っているなら、整理した状態であればまるごとデータを送ってもらっても大丈夫です。

 

 

情報として知らせてほしい項目について

 1、希望オーディオフォーマットがある場合は指定してください

"いつも96kHzで作業しているので96kHzで録音してほしい" など指定がある場合は必ず連絡してください。
何も指定がない場合はオケ用のデータと同じ形式で録音するのが一般的かと思いますので、96-32f が希望ならその形式のオーディオファイルを送れば理解していただけると思います。
(Logic は10.7.5以降で32bitFオーディオ対応可能になります)

2、希望納品データのトラック詳細を指定してください

どういう状態のトラックを納品してほしのか?をご連絡ください。
ボーカルの場合、複数テイクをフィックスしたメインだけで良いのか?選び直したりダブルを作るかもしれないから録音テイク全部欲しいのか?などで書き出しの方法や手間が変わってくるので録音のトラッキングなどが変わります。

(指定例1:メインボーカルは選んで組み合わせたOKトラックの他、素材テイクも全部ください、ハモリなどはOKのみで大丈夫です。 
指定例2:こちらでProTools開けるので録音したセッションをそのまま送ってください。など)


3、チューニング情報をください

近年ギターやバイオリンなど楽器をダビングする時に「チューニング何?」という事がよくあります。
A=440Hz か 441Hz か  など、指定をお願いします。

一般的なソフト音源でも初期設定がバラバラだったりするので一度確認したほうが良いと思います。いちぶチューニング変更できないものもあるので注意が必要です。
そのあたりよくわからないよ・・という場合は 楽曲で使用している音源のピアノの音などでAトーンを入れておいてください。


以上の指定情報などについてはフォルダの中にテキストデータなどでまとめて書いてもらって、タイトルに「録音時のお願い」などつけて頂ければなお助かります。

 

最後に作曲家やアレンジャーさんにお願い

スケジュール的な問題もあるかと思いますが、入念に準備していてもたまにミスやデータ欠けは起こるものです。当日立ち会う場合はラップトップPCを持ってきていただいて修正や追加書き出しができるようにしてください。
立ち会わない場合は収録日の開始時間を把握してもらって、なにか不備があった場合は対応できるようにスタンバイしていて欲しいです。
(実際データが途中で切れてるとか キーが変わるとか テンポ早くしたいなど現場で修正が必要な場面で電話が繋がらないという事があるので)

スタジオは時間=金額になってるので時間を無駄に消費するのはクライアントの負担になるという事を忘れないでください。 


以上

ボーカル録音用などに準備するデータなどについて・レコーディングエンジニアからのお願い、でした。
サウンドハウス


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