レコーディングエンジニアの存在意味とは?

他でも触れましたがレコーディングエンジニアを取り巻く状況は日々変化しています。
かつて栄えた恐竜の様に、バブル時代のOLの様に・・・

時代・環境に対応できない種は絶滅する状況におかれていると言っても過言ではありません。


では今でもレコーディングエンジニアとは何故必要なのでしょうか?


エンジニアという言葉の意味である「技術者」
wiki/エンジニア参考
ハードウェア、ソフトウェアにおいて、その原理、仕組みを理解し、深く精通している事を指すと思いますが、実際巷に多く存在する「レコーディングエンジニア」にはこれが当てはまるでしょうか?




答えは否です。


コンピューター内で完結できるシステムの普及で過電圧による歪や機材の故障、テープレコーダー特性を使った音色変化、適正レベルでの録音など技術者としての要素は薄くなりました。
録音の基本の基本であるマイキングでも2本以上のマイクを立てると生じる位相のズレなども「後で波形合わせよう」で済んでしまいます。


■現在のレコーディングエンジニアに求める事

これは何十年も前から、不動の理由があります。
音が良い事
音が良いとはオーディオマニア的に音が良いではありません。
究極に言ってしまえば
「アーティスト・プロデューサーの望む音に仕上げる事」
これにつきると思います。
「自分はロックが専門だから」「今は歪んでるほうがかっこいいよね」等
レコーディングエンジニア(自称)の言う言い訳やたわごとは沢山あります。


アーティストが求める音がカセットテープの音だったり、あるいはレッド・ツェッペリンだったりします。
音が良いとう法則や正解は存在しません。
しかし音が良くないというものは確実に存在します。

「アーティストが求めていない音」です。


つまり作品に合っていない音つくりや個人の趣味が強く出ている音が多いですが


多くの場合「予算がなくて安いスタジオしか使えない」といった条件面で妥協や自分を納得させている人がほとんどだと思いますが
これはただの言い訳だと思います。


さすがにヤマハのピアノをスタインウェイの音には出来ないですが、ヤマハのピアノでもキチっと録音すれば綺麗な音ですし、少なくとも作品の価値を低下させるような事はありません。
しかしレコーディングエンジニアの手によって作品の価値が低下させる事はよくあります。
よく耳にします。
「あーこれ失敗してるな・・かわいそうに」
TVなどを観ていてこうつぶやく事は沢山あります。




私は一緒に仕事をした人たちから


「予想していたよりも完成度が高くなった」


「低予算で心配でしたが仕上がりに満足です」


「自分たちにないテイストが加わって良かった」


など言っていただけなかった場合は失敗だと思うようにしています。


「まあ、こんなものか」「予算にしてはまあまあじゃない」


そういったご意見はお叱りの言葉と受け止めています。


一緒に仕事(レコーディング・ミキシング)をする事でより作品の価値・完成度を上げる事。


それが出来ない人はレコーディングエンジニアではなく


「DAWを使える人」だと思っています。


あなたの作品のレコーディングエンジニアはその作品の価値を高めてくれていますか?



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2 件のコメント :

  1. ギタミスト2011/02/26 11:08

    はじめまして。凄くためになるお話を楽しく拝見しております。いきなりで恐縮の疑問なのですが
    『あの人に頼めばこんな感じに仕上がるというイメージが出来ているのです。よくも悪くも いつものテイストをキッチリとこなせるのです。』
    と以前おっしゃっておられたのと
    『アーティスト・プロデューサーの望む音に仕上げる事』
    は少し矛盾してるように思ってしまうのですが。やはりプロデューサーの役割の問題なのでしょうか?私の理想エンジニアさんはやはり”理解してくれる人”です。

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  2. ギタミストさん
    コメントありがとうございます。
    それぞれの記事の内容をご確認頂ければご理解いただけると思いますが、
    「いつものテイストをキッチリとこなせる」という見解はアメリカのエンジニアの実情を書いたものです。
    一方
    「アーティスト・プロデューサーの望む音に仕上げる事」
    というのは"音が良い"という定義についての私の見解です。
    矛盾しているように感じるかもしれませんがロック~ジャズ、HIPHOP、クラシック、テクノまで様々なジャンルで仕事をしている人は少ないという事だと思ってください。
    特に海外は専門性が高いと思います。
    テクノの人にジャズを頼むプロデューサーはいないと思います。

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