PAN LAW の話

DAW音質比較の追記です。


コメントでも頂いているように


ProToolsHD7とCubase、NUENDOとは音が違って聴こえるのですが、実はこれにはタネがあります。



PAN LAWについて

DTMソフトや音響機器に詳しい方でしたら当たり前の事なのですが
音を左右に振り分けるPAN(パン)にはPAN LAW(パンロウ)というものがあります。




通常のステレオ(L R)の場合、左右で同じ音量を出してしまうと、センターに音を置く時に音量が大きくなってしまうので、センター位置の時にどの位音量を下げるのか?がPanLawになります。

アナログミキサーの多くは-3dBという規格だった為にCubaseやLogicはノーマルで-3dBとなっています。
(デジベル計算で2倍が6dBだから)

一方ProToolsは-2.5dBとなっているので必然的にセンター定位のモノラルトラックが他のソフトより0.5dB大きくなるのです。(pro Toolsについては最後に追記があります)
今回のDAW音質比較で使用したトラックはベースのみモノラルでしたのでベースが0.5dB大きくなっているはずです。


ProToolsは音が良いのか?

よく「ProToolsは音が良い」という話を聞くと思うのですが、単純に同じセッティングで立ち上げた場合センター定位のモノラル音源(通常だとドラム、ベース、ボーカル等)が大きくなる為
派手に聴こえるので 音が良いという表現になっているだけかも知れません。


作業の向き不向きはあるでしょうが単純にオーディオデータを書き出しただけでは"音質"には一切変化は見られません。


同じProToolsでもTDMとLEとでは演算処理が整数でもbit数の違いがあるので作業内容では若干音が違うのですが、だからといってProToolsが音が良いという結論にはなりません。


Cubaseは大分前から32bit浮動です。
この演算処理の違いについてはコンピューターの話になるので私もなかなか説明が難しく、この場で簡単に詳しく記述できません・・。
興味のある方は調べてみて下さい

結論

ProToolsとCubaseでは上記のような理由も含めて確かに音に違いがあります。
使うエフェクト、トラックなどで変わって来るのですが、あくまで違うのであってどちらが良いというものでは無いと思います。
第一ProToolsLE8までに関してはインターフェイス依存しているので同じ条件で考えること事態が違うのかも知れません。
操作などに関してもProToolsで出来るけどCubaseでは出来ない事、その逆もしかりです。
内部ルーティングや編集などの使い勝手なので音色で選ぶことはあまりありません。




私は現在ミックス作業はCubase5にて行う事が殆どですが、ProToolsでも問題ないと思います。
実際同じ曲を2回ミックスしても同じになる事は無いので比較のしようがないのが本当の所です。


ですので今回のDAW別の音を聞いて「やっぱプロツールズが断然音が良いね」と言っている方がいると思いますが、"音が良い"のではなく、ベースがチョイでかい。という事です。


需要があるかわかりませんが、今後も色々議論されている
マイクプリアンプの違いやケーブルの違いなどを取り上げていこうと思います。




・・・追記
Pro Tools 9以降のバージョンではPan Law(パンデプス)の設定が任意で変更できるようになりました。
ますます他のソフトと差が無くなっていきますね。



Pro Tools10からはインサートバスが32bit浮動小数点、ミキサーバスが64bit浮動小数点に仕様変更になっています。

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